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先月、このかわら版5月号で、
「昨年来から「ピーター・ドラッカー」の著書が静かなブームとなっています・・・」
という書き出しで
『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』
という本を題材に取り上げました。
実は、私がその原稿を書いている中、週刊ダイヤモンドが「もっと知りたい!ドラッカー」という特集号を発刊し、それ以外にもさまざまな経済誌がドラッカーの特集を取り上げ始めました。
その後、経済誌にとどまらず、講談社の写真週刊誌「フライデー」が「ドラッカー いままた大人気の秘密」という特集を組むなど、単なる「人気の経営実務書」を超えて、まさに「社会現象」と言える感があります。
ちなみに、「もし高校野球の・・・」の本は、「もしドラ現象」と言われるほどの大人気です。
書店に行っても、「平積み」や「コーナー置き」どころか、「専用ワゴン」で、ドラッカーの著書全般を販売している書店もあり、「静かな・・・」どころか「一大ブーム」と言えるでしょう。
「経営とは、経営者とは・・・」という企業の最も根本の命題に対して、この時期にこそ、もう一度見つめ直す「拠り所」と感じている経営者が多い証だと思います。
今回のかわら版では、前回触れられなかった点を中心に、引き続き「ピーター・ドラッカー」を考えて見たいと思います。
先月5月号のかわら版でドラッカーを取り上げてから、多くの方から、「書店に行くと数多くのドラッカーの本があるのですが、お勧めは何ですか?」というご質問をいただきました。
まずは「もし高校野球の・・・」の本が、大変わかりやすく、しかも小説としてのストーリー性もあるので、今一番お勧めしています。
その上で、「私自身も全部読破してはいないのですが・・・」という前提で、私なりの「この3冊」としたら、
その中で、「プロフェッショナルの原点」は、「ドラッカーの遺作」の翻訳本です。
「成果をあげるための5つの習慣」について、それまでのドラッカー自身の著書、例えば「経営者の条件」などの著書を中心に、エッセンスをまとめ上げています。
ドラッカーは、さまざまな著書の中で「成果を中心に考える」ということを随処で語っており、その集大成と言えます。
「基本的なこととして、成果すなわち仕事からのアウトプットを中心に考えなければならない。技能や知識など仕事からのインプットからスタートしてはならない。それらは道具にすぎない。いかなる道具を、いつ、何のために使うかは、アウトプットによって規定される。」
「仕事と職場に対して、成果と責任を組み込むことである。」(・・・マネジメント エッセンシャル版より)
言うまでもなく、最終的には「成果」が問われるのが「企業」であり、「仕事」です。このことを見失うことがなきように、逆を言えば、「行動・努力」をしたことに満足して、それが「最終目標」にならないように…との警告です。
「成果」を出すためにはもちろん「行動」「努力」が必要かつ前提です。更に、直ぐに成果は出ずに、長い行動・努力を要するものもあり、短期で判断できない重要なものもあります。
しかし、「最終的には・・・」という心構えを持っていることの重要性を言っているのだと思います。
「営業」の世界では、「何社のお客様を廻った」「名刺交換を何人と…」というのは、全て「行動」面であり、「成果の前提」ではあるが、「成果」とは違う…という、当たり前のようによく言われる話しと同様です。
そして、「成果をあげるための5つの習慣」について、具体的に次の5項目が挙げられています。

「成果をあげるには、自らの果たすべき貢献を考えなければならない。手元の仕事から顔を上げ、目標に目を向ける。全体の成果に対して、影響を与える貢献は何かを問う。そして責任を中心に据える。貢献に焦点を合わせることが、仕事の内容、水準、影響力において、あるいは上司、同僚、部下との関係において、さらには会議や報告の利用において成果をあげる鍵である。」
「お客様に対して」及び「組織全体に対して」の「貢献」を、社員・幹部全員が全ての行動の旗印にできている企業、社員・幹部全員が「自分はどのような貢献ができるか」の自問を常に繰り返している企業の大切さをドラッカーは折々に説いています。
そして仕事の意義について、「役割」や「肩書き」で単に捉えるのではなく、仕事を通じて「顧客・組織に対してどのような貢献ができるのか」という視点で捉えることを強調しています。
「お客様に対して」及び「組織全体に対して」の「貢献」という視点であればこそ、会社内のそれぞれの仕事に「別の可能性」が発見されるものです。その例として「経営者の条件」の著書の中でも、ある商業銀行で株式の名義書換代行業務を行っている「証券代行部」は、行内でも「単調な仕事の事務屋集団」と思われていたが、「どのような貢献ができるか」を再度考えてみると、証券代行部は、各企業の財務担当役員と直接会える機会を持てる部門で、「銀行のあらゆるサービスについての一大営業部隊」になれる「可能性」があることに気づいて、その後その銀行の「強力な営業勢力になった」という例話があります。
規模や業種はそれぞれ違いますが、ひとつひとつの仕事を「貢献」という視点で掘り下げていった場合に、全く違う付加価値を生んでいく大切さについて、示唆に富んだ話です。
「…人の強みをいかす。弱みからは何も生まれない。・・・強みをいかすことは、組織に特有の機能である。組織といえども、人それぞれがもつ弱みを克服することはできない。しかし組織は、人の弱みを意味のないものにすることができる。組織の役割は、一人ひとりの強みを共同の事業のための建築用ブロックとして使うところにある。」
「人は組織のおかげで、強みだけを生かし、弱みを意味のないものにすることができる。」
組織の中で「強みを生かす」。まさに「長所伸展法」で、ドラッカーは「人」について一貫してこの考え方が重要であると言い続けています。
更に、「自らの成果をあげる」として、「自分の強み」についても触れています。
「自らの仕事においても、まず強みからスタートしなければならない。」
「まず初めに何ができるかという質問からスタートするならば、ほとんどの場合、手持ちの時間や資源では処理できないほど、多くのことがあることを知るはずである。」
「強みを生かすことは、行動であるだけでなく姿勢でもある。しかし、その姿勢は行動によって変えることができる。同僚、部下、上司について、できないことは何かではなく、できることは何かを考えるようにするならば、強みを探し、それを使うという姿勢を身につけることができる。」
ドラッカーは、「なされるべきことをなすため」という表現を使いますが、「弱み」や「できないこと」を見るのではなく、「できることから」「自社・自分の強みから」という着目が重要です。
また、限られた資源の中、例えば「時間の不足」「やるべきことが多い」ことの中から、これらを実行していくために、その次の項目である「重要なことに集中する」ということがより重要になってくるのだと感じます。
特に、「優先順位の決定」よりも、「劣後順位・・・なすべきことでない順位」の決定は、難しいものです。
今回も、そのほんの一部ですがドラッカーを取り上げてみました。ドラッカーは、日本型の「経営」を非常に分析調査をした第一人者です。「明日を支配するもの」などさまざまな著書で、日本型経営・日本モデルとして触れられています。
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