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経営を良くする「見える化」

昨年の10月以来、「暴風雨」「急ブレーキ…」「100年に一度の…」という言葉を耳にしない日はない状況です。
さまざまな識者の「今年の経済見通し」でも、「厳しい見方」が大半のようですが、いろいろな意見を整理すると大きく「二つの見方」があるようです。
今回の不況の発火点は、アメリカの金融不安であるが、現在は自動車産業を中心に実態経済にも相当の減速があることから、日本経済の回復にも相当の時間を要するという見方。
逆に、20年前の平成バブル崩壊や10年前の金融崩壊・その後のITバブル崩壊の時のように、「日本国内」の問題が発端ではないだけに、アメリカの新大統領が打ち出す100兆円に近い財政出動が就任後100日以内にあればという条件付きではあるが、日本経済の回復は世界の中では早い方となるという見方。

「朝の来ない夜は、絶対にない」とは言います。
しかし、いずれの見方においても「今年は昨年よりも厳しい状況」というのは一致しており、しばらくは「○○が限られた経営(売上が…、受注が…)」が続くのでは、というのが大方の見方のようです。

先日お会いしたある方が、こんなことをおしゃっていました。
「不況期には不況期でやることがあるのだと思う。今だからできることとは何だろうか。まずは、今の仕事のやり方を見つめることからやっています。」とおっしゃっていました。

今回のかわら版は、この時期だからこそ

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を考えてみたいと思います。

1.「腕を磨くことには限界が…」

昨年末、ある部品加工業の社長から、こんな話を伺いました。

……製品を作る効率やコストについて、その製品そのものを作る「材料費」や「加工時間」を縮めるといっても限界がありますよ。
昔は「腕を磨いていい製品を短時間で安く作る」と言うこともあったけど、機械化が進み、コンピューターソフトで加工工程を制御するとなると、「一つの製品の加工工程を工夫に工夫を重ねて10秒で仕上げていたものを、更に1割縮めて9秒にする」というのは至難の業だし、その点で差別化を図っていくのはかなり限界ですよ。ただ、このような「直接時間の削減」ではなく、「周辺時間の削減」を積み重ねることがものすごく重要で、すごい効果が生まれるものですよ。ひとつひとつは、小さなことですが…。
例えば……

その続きの話のポイントは次のような点でした。

  • 工場内での「文字での識別」「図での識別」「色での識別」を再確認し、言語の違う社員・新入社員・今日来た派遣社員でも更にわかりやすい業務配置
  •        
  • 製品の移動動線を極限まで削減(単位は何センチまで測る)
  •        
  • 人の移動動線を極限まで削減(単位は何センチまで測る)
  •        
  • 「不良」は「現物」を置いて、注意喚起を促し指示の「見える化」する。(文書や口頭での指示は効果が薄い)
  •        
  • 腕時計はさせないで、工場の四方に大きな電波時計を置き、全員が顔を上げれば同じ時刻がわかる環境を作る。(時計が一箇所の環境や、腕時計を見る環境では作業時間に相当のロスが出る)
  •        
  • トラブルが生じた時の対処権限を更に細かく設定
  •   等々          

……この不況期だからこそ、自社内で利益を生むものはないかとすべての業務を真剣に再確認しています。現場で仕事に追われていると、無意識に体が馴染んでしまい、気がつかないものですが、食事をしているときや風呂に入っているときなどに現場を「振り返って」みると、いろいろあるものですよ。……

話を伺っていて、上記の社長の話は、「日本能率協会」と当社の提携セミナーで、「原価低減・工程改善」のテーマにて講師をしていただいた「橋本賢一先生」の講演に通じるものがありました。
以下、橋本先生の講演及び著書の中の要旨です。

……例えば加工の工程の改善のやりやすさから「基本機能」「補助機能」「ロス」の3つに分ける。加工でいう「基本機能」は、切ったり、削ったり、組み立てたりして加工、変形、変質を伴う作業である。「補助機能」は、取り置き、運搬、治具セット、検査などの手段として基本機能を補助している作業である。「ロス」は、同期生産で各工程のサイクルタイムが均一でないために発生するバランスロスと複数の人や機械で作業するときにそれぞれが干渉しあって発生する干渉ロスがある。
改善が最もやりにくい「基本機能」の改善余地は0%としても、最も改善のやりやすい「ロス」の改善余地は100%であるし、「補助機能」の改善余地は50%あると推定される。

見えるロス(不良のロス・稼働率のロス・在庫のロス・残業のロス・技術歩留のロス等々)より、見えないロスの方がコストダウン余地は大きいことが多い。
目に見えないロスだから、見過ごしやすく、ロスに気がつかなければアクションが打たれるはずもない。
……

2.「見える化」にて…

少し前に「見える化」という言葉が大変話題になりました。橋本先生の前述の言葉にある「見えないもの」を「見える」ようにするためには、この「見える化」が必要です。
例えば、「問題の見える化」にはさまざまな切り口があります。

問題の伝達の切り口

例えば、不良品や過剰在庫・ミスの撲滅などについて注意喚起を促すとき、
「言葉にて」→「文字・文書にて」→「図・絵・グラフにて」→「現物にて」 の順で「理解度」「リアル感」はアップします。
「見える化」の切り口の基本は、やはり「目」だと言われます。

問題の測定の切り口

「量」で表すのか、「質」で表すのか、「金額」で表すのか、また、それぞれの単位は何か、つまり「何をどの単位として見えるようにするか」の切り口は重要です。

問題の直接度の切り口

例えば、お客様からの評価について「お客様自身の声や手書き文章などを直接見えるようにするのか」「ワープロに打ち変えて文章で配るのか」で、問題に対する「リアル感」は相当の違いがあります。
上記の橋本先生の話とも通じますが、「見る人」と「その目的」を明確にして、それを「見える化」することが、「見えないロスをなくす」「非効率をなくす」ことなどにとって重要なようです。

3. 「消費者ニーズの見える化…苦情・クレーム博覧会」

「苦情・クレーム博覧会」とは、福井商工会議所がホームページ上で運営するページです。


「福井商工会議所が、あなたの日頃の苦情・不満・提案を買います」


このタイトルでまず目に飛び込んできます。全国の消費者が日頃感じている不満や提案を投稿してもらい、それを閲覧した企業がそのクレーム・不満を解決する製品作りを進めることで、福井の産業振興に役立つのではとの試みです。
ここから開発されヒットした製品の中では、まず「ヌレンザ」という「濡れない傘」があります。雨に濡れた傘をたたんで電車に乗ると、どうしてもその傘が自分や周りの人にあたって服が濡れてしまう。何とかならないだろうか、という投稿にヒントを得て、福井洋傘という会社が、高密度の生地により水滴の付かない傘を地元の生地メーカーと共同製作し、高額商品ながらヒット製品となりました。
また、裏側に大きな空気の抜き穴のついた大型浮き輪。大型の浮き輪は、空気を抜く時間がかかりすぎるというクレーム・不満の解決として生まれ、普通の7倍の速度で空気が抜けるという製品です。
この原稿を書いている1月現在の同ホームページにも、電気製品・日用品・車両用品・サービス等々さまざまな分野の「クレーム・不満・提案」が載っており、まさに「消費者ニーズを見える化」と言えます。改善の「視点」の参考になるものもあります。


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