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今から3年前の2005年にある本の日本語訳版が発売され、今年になって日本企業を例にした本が発売されるなど、静かなブームを呼んでいる「企業の市場」を表した言葉があります。
「ブルーオーシャン(青い海)と レッドオーシャン(赤い海)」
ともに「市場」を「海」に例えている言葉です。
今月は、この「ブルーオーシャンとレッドオーシャン」についての話題です。
1.レッドオーシャン
常に価格・品質等々で他社としのぎを削る「既存市場」です。市場や競争のルールは確立して おり、競合他社と既存市場の奪い合いに勝つことが絶対で「赤い血潮に染まった激戦状態」の市場を例えています。
2.ブルーオーシャン
まだ確立した市場が存在しない「未知の市場」です。海図は存在していませんが、市場の広さから得られる成長性や可能性が大きい市場であるということから「広大で力強い青い海」の市場を 例えています。
「ブルーオーシャン戦略」とは、まさに「新しい市場の創造」をポイントとする考え方ですが、どんな企業でも「ブルーオーシャン」の中での商品・サービスを扱え、確立できればこんなにいいことはありません。
しかし、果たしてこれだけの競争社会においてそんな例が身近にあるのか、もしあったとしても、莫大な開発費を投じられる「大企業だけの話ではないのか」と思ってしまいますが、その考え方は中堅・中小企業にも、大変参考になりますし、下記に載せてあるとおり、中小企業でも「実践している成功例」もあります。
まずは、身近なヒット商品からその「考え方」をご紹介します。
「Wii」は、任天堂が2006年末に発売した体験型ゲーム機です。
「Wii」が特徴的なのは、ゲームソフト市場が1997年をピークに縮小を続け、2003年にはピーク時の約半分にまで落ち込んでしまい、各ゲームメーカーが熾烈な開発・新製品競争を演じているまさに「既存のレッドオーシャン市場」を横目に見て、大躍進をしていることです。ほぼ同時期に発売された「プレイステーション3」と比較すると、2007年11月の時点で販売台数で倍以上の差をつけています。
「Wii」が発売される前のゲームのメインユーザーは若い男性と子供でしたが、「Wii」は、おじいちゃん・おばあちゃん・女性を含めた「家族単位」を巻き込みました。まさに「新しい大きな市場の創造」を実現したと言えるでしょう。
ブルーオーシャン戦略において、「顧客の求める新しい価値」を考える場合に、次の「4つのアクション」が非常に重要だと言われます。
「Wii」が発売される前のゲーム機は、「画面の精密なリアルさ」「ゲームを面白くするために生じる操作の複雑さ」「音楽の音質などの完成度」「ハードの多機能さ」を競っていけばいくほど価格は高くなり、どんどん「セミプロ向け・マニア向け」製品となってしまった感はあると思います。
任天堂はそれらの点を競争していくのではなく、逆にそれらを「取り除くもの」又は「減らすもの」と位置づけ、既存のゲーム機に存在しないコンセプトを「付け加えるもの」として、「家族に溶け込み、全員で手軽に」「体を動かす楽しさ」「マニュアルのいらないシンプルさ」を入れたことが、大躍進の根本であったと言えます。
任天堂「Wii」は大企業の話ですが、もっと身近な成功例もあります。
愛知県蒲郡市(がまごおりし)の漁師と中卸の会社の話です。漁業は燃料費の高騰もあり、一斉休漁日を設けて漁業の窮状を訴えたりする動きも有りますが、その方たちは補助金に頼るのではなく、何とか自分たちでできることを・・・と、智恵を絞ってピンチをチャンスに変えています。
地引き網漁において、網にかかって船上に上げられる魚のうち、なんと「40%」は捨ててしまうのだそうです。食卓になじみのない魚や不揃いの魚は「燃料」と「手間」をかけても無駄になってしまうわけで、逆に言えば、セリにかけ、売れる魚には、捨ててしまう魚の分の燃料などのコストもプラスせざるを得ないわけです。
そんな中で「何とか商品として出せるものは・・・」という工夫から今まで捨てていた「40%」のうちから「エドアブラザメ」というサメに着目しました。試行錯誤の末、「から揚げ」が一番美味しいということで、「安く(・・・今までは捨てていたのですから)」「お勧め調理法も書いて」・・・などで拡販をしています。
この取り組みを聞きつけた石川県のある漁協も、蒲郡の方たちの智恵を借りて、漁でとれる「ハタハタ」のうち、今までは捨てていた「小さなハタハタ」を捨てずに「頭から食べられるから揚げ」として、大手居酒屋チェーンに共同企画を持ち込み、試食提供から次なる拡販をしています。
既存の魚販売市場は、価格競争・コストアップなどまさに熾烈な競争の中、既存市場にはとらわれない未知の市場、まさにブルーオーシャンへの挑戦であり、「未知なる魚に商機あり」との発想です。
また、さきほどの蒲郡の漁業の方は、加えてこんな取り組みを「付加価値アップ」として行っています。
「メヒカリ」という魚の漁の際に、普段なら漁をした大量の「メヒカリ」をただ積んで漁港に持ち返っていたそうですが、帰りの漁船の中で大きさの選別をして持ち返ることで、「煮付け用・・・中」「から揚げ用・・・小」とセリがかけやすくなり、付加価値アップに取り組みました。小さな取り組みですが、ひとつひとつの積み重ねが売上アップの要因です。
これらはまさに、前回のこの「あさぬまかわら版10月号」の「利益の源」のところで書いた新商品・新サービス の着眼点です。
自社の商品・サービスの「前」「後」に何があるのかに着眼し、
「十年ひと昔」という言葉がありますが、今年は「一年ひと昔」の言葉がまさに合う昨今です。
しかし、その時代だからこそ「現在の商品・製品・サービス」、又はもっと拡大して「事業そのもの」の「前」「後」に何があるのかや、「4つのアクション・・・取り除くもの、付け加えるもの、減らすもの、増やすもの」をもう一度見つめ直すことによる「チャンス」があると感じます。
推薦及び参考図書「ブルーオーシャン戦略」
W・チャン・キム+レネ・モボルニュ 有賀裕子[訳]
/ランダムハウス講談社(2005年発行)「日本のブルーオーシャン戦略」
安部義彦・池上重輔 著/ファーストプレス(2008年発行)
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