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近頃の「税務調査」で聞かれることって

5月・6月と少なくなっていた「税務調査」の連絡が、7月からは多くなる時期です。6月をもって税務署の実質的な「年度」が終了し、人事異動後の新たな一年となるためです。
税 務 調 査

事業を営んでいれば、どんな会社でも避けては通れないもので、当社へいただくご質問でも、一番多いのがやはり「税務調査」の関連です。

「税務調査は何年に一度来るのですか? 知り合いの会社は5年に一度くらい調査があるって言ってたけど、うちには10年以上調査はないなあ。」
「税務調査は赤字の申告の時にも来るのですか?」
「調査では、どんなところを見るのですか」......
顧問先の皆様からいただく大変多い質問です。非常に答えが難しいご質問ですが、今回は「税務調査」がテーマです。

1 .税務調査はいつ?

税務署の「年度」は、7月に定例の人事異動があるため、実質的には、7月から翌年6月にかけてです。したがって、異動の終わった「7月から11月位まで」の間、一番調査着手が多く、その後、「1月中旬から確定申告の前の2月中旬まで」と「4月から5月にかけて」の期間の着手が多くなります。

「調査をしたい」という旨の連絡が税務署から顧問先の皆様に入ったら、その連絡内容をよくお聞きの上、まず、当社担当へご連絡ください。

当社の方で間に立ち、具体的な日程その他を「皆様・当社・税務署」間で調整いたします。2日程度の日程となることが通例です。

また、事前連絡なしで調査官が訪れることもあります。
可能性としては、次のような会社です。

  • 日々現金を扱う業種(現金残高・現金管理の現状把握)
  • グループ会社を何社か有する会社(会社間の取引状況の現状確認)
  • 社員数が多く、正社員・パート社員・派遣社員など雇用形態がさまざまな会社(勤務状況・ 給与の支給状況の現状確認) など

事前連絡なしなので、その時に会社の最高責任者である「社長」がいる・いないかなど状況はさまざまですので、顧問先の皆様は、まずは当社担当へ至急ご連絡ください。

会社に訪問しての調査は、2日程度で終わりますが、その場で結論が出るわけではなく、その後、当社が顧問先の皆様の代理として、税務署へのさまざまな説明・折衝等などを行っていき、結論を導き出していきます。

税務調査は何年に一度か、というご質問は大変難しいご質問です。

もちろん、国勢調査のように何年に一度と法律で決まっているわけではありません。よく3年に一度とか5年に一度とか言いますが、3年に一度というのは「大きな規模の会社」か「前回調査で大きな課題のあった会社」などのように一部のケースが多いと思いますが、はっきり言える訳ではありません。

通常は5年以上の期間に一度位の間隔でしょうか。

2.税務調査はどんな会社に来るのか

これも難しい質問です。経験則から言えば、次のような会社でしょうか。
  • 赤字の会社よりは、利益の出ている会社(赤字であっても源泉所得税や消費税の調査はあります)
  • 期末近くに特別償却を計上する設備投資を行った会社(年度内に設備の稼動状況がきちんと整っているか)
  • 前回調査で大きな課題のあった会社
  • 大きな特別損失、例えば多額の役員退職金や廃棄損などを計上した会社
  • 急成長をしている会社や活況な業種など(ある時期に同業の会社の多くに調査が着手される場合など)
  • 粗利が異常に不自然であったり、同業種よりも決算に不自然さが目立つ場合
また、税務署が別の会社の調査の際に、「資料箋」と言って「領収書などの支払いの資料」を収集した場合に、その資料情報の確認を発端とする場合もあります。どこかに領収書を切っていれば、必ずその会社は売上げに上がるはずですから。

3. 税務調査での着眼点は?

税務調査は、順序とすると次のように進行するケースが大半です。
  • 会社や事業の概況を聞く 
  • 売上げ・仕入れ・在庫の調査(「仕入れ」をしたものは、必ず「在庫」になっているか、「売上げ」ているかのどちらかとなっている。漏れはないか。特に期末近くの仕入れ・製造が重点)
  • 人件費や一般経費・支出など

製造・建設・運輸・卸・小売などの業種はだいたい上記の通りですが、業種・業態によって、いくつか例を挙げると、例えば次のように異なります。

  • 建設業の場合には、期末に引き渡しの終了している工事は適切に売上げに計上されているか、期末の仕掛工事に対する「材料費」「外注費」「労務費」などが経費でなく、適切に資 産計上されているかが、一番時間の割かれる点です。
  • 医療機関の場合には、保険診療が多くを占める診療科については、「収入部分」「仕入れ部分」は把握が容易なので、多くの時間はかけず、逆に「給与」や「経費」関係に時間をかけていきます。
  • 派遣業などは、「給与」関係に相当の時間が割かれます。
  • グループ会社を何社か有する会社の場合には、グループ間の経費の負担按分や取引状況につ いて、相当の時間が割かれます。

4. 具体的な留意点

具体的な留意点は、業種業態によって異なります。人件費の関係は、業種横断の点なので、5つの問題となりやすい例を挙げていきましょう。

一人外注さんへの支払は、「給与」か「外注費」か

製造業・建設業・運輸業、又は軽作業の伴う卸売業・小売業等において、いわゆる「一人外注さん」に対しての支払いが、「給料」なのか「外注費」なのかは、よく問題となる典型的なテーマです。

本人の希望や、会社としての考えにより、いろいろな働き方や仕事の請け負わせ方はありますが、上記の表のとおり、その取り扱いには大きな差があり、税務調査で「外注費」としていたものが、「給与」として取り扱いを受けた場合には、過去に遡って「源泉税」と「消費税」を多額に負担する場面も生じてしまうかもしれません。

「一人外注さん」に対しての支払いが、「給与扱い」なのか「外注費扱い」なのかは、実務的には非常に線引きが難しいのですが、次の点を総合勘案して判断していきます。

言い換えれば、「請求書があればいい、なければだめ」とか「日給月給払いでは絶対認められない」のように単純な形式的なものではなく、次の9つの項目のうち、いくつクリアできるかがポイントです。

繰り返しになりますが、「何がなければだめ」とか「これがあるからいい」とかいう話ではなく、9つの項目のうちいくつ根拠とできるか、です。

例えば、請求書の発行を要せず、会社の発行する「支払い確認書」への確認にて、当月の請求額を決定する業種・業態もあります。又、どうしても業種や業務内容として、日給的な決め方で支払い金額の根拠を決めざるを得ない場合もあります。その場合には、それ以外のところで、しっかり「外注費」の条件を主張できる環境が必要です。

逆に、請求書を発行し、支払金額の決定根拠が「業務請負...何個作る、どの工事を行う等々」だとしても、その会社の社員の給与と同じ〆日・支払日で、忘年会等も全て会社負担で、残業手当・通勤手当があり、社員と同じ日に賞与も払い、制服や軍手等々も会社持ち...など、他の項目が給与扱い的要素が強ければ、問題となる可能性はかなり大です。
給与扱い的要素が多く占める場合には、非常に検討を要します。

御社の一人外注さん・社内外注さんへの支払は、この表をご覧いただいていかがでしょうか。是非、ご検討ください。

  • 「フル勤務」以外の家族社員・家族役員の給与
    毎日、フル勤務している家族社員・家族役員であれば、仕事に比して余程の高額でない限りあまり問題にはなりません。 しかし、次のようなケースなど、フル勤務ではない家族社員・家族役員である場合には、「具体的に一ヶ月のうち何日間、一日のうち何時間、何の仕事をしたのですか」と、社長や奥さんに対して直接具体的な説明を求められます。
  • 毎日の出社ではなく短時間の勤務の場合。更に時給ではなく「月給」であった場合には、かなり説明を求められる。

  • 遠方にいる方で、出社が毎日であるとは考えられない方。

  • 「学生」や「他に仕事を持っている方」「子供が乳児である方」などフル勤務が難しいと考えられる方

したがって、このようなケースの場合には、きちんと「出勤の事実」を出勤簿等で明らかにしておく、「具体的な仕事」の説明のできる事実を残すなどが必要です。
つまり、「会社に対して、これだけの貢献があった」ということをしっかり説明をしていけることが大切です。
役員であったとしても、「非常勤役員」としての給与であれば「年額○○万円」位が限界なので、具体的な職務内容が必要です。非常勤役員は「月額10万円」なら大丈夫などという「形式枠」はまったくありません。

これが問題となると、会社の経費として認められなくなり、かつ、社長に対しての賞与としての課税を求められるなどが考えられ、何年分にも遡ると影響は大です。

「退職」を実質したか

退職金に伴う税制は、長年勤務した後の一時金であるだけに、かなり優遇された税制です。 支払う会社側は、損金(経費)となり、受け取る本人の所得税は、「退職所得控除・1/2課税・分離課税」という3つの課税方法で計算することにより給与や賞与で受け取るよりもかなり税負担は下がる場合が大半です。

「完全に役員を降りるケース」はもちろん支給対象になります。また、「分掌変更」といい、役員のままであったとしても、次のようなケースの場合には、実質的には退職があったものとして、支給対象になります。

  • 例えば、常勤取締役が非常勤取締役になった
  • 取締役が監査役になった(持ち株規制はあります)
  • 報酬が半分以下となった

ただ、どのような場合でも「実質的に退職していない」と認められてしまっては、損金が否認される恐れがあり、大変なこととなってしまいます。
社長や奥さんに退職金が支払われた場合には、調査又は問い合わせがあるケースが多く、「本当に実質的に退職したか」を質問され、現況の調査をされます。

(例1)「社長交代」で問題が想定されるケース
例えば、息子さんである専務へ社長交代をしたとしても、実印は「会長」となった元社長が預かり、「さまざまな証言」から「社員の採用」「銀行融資」「取引先との取引内容」などの実質決定を行っていると、「退職していないのでは」と疑念が持たれてしまいます。特に、息子さんの在社歴がまだ浅かったり、年齢が若かったたりした場合に特に質問され、調査されます。

(例2)「経理を取り仕切っている専務である奥さん」の退職で問題が想定されるケース
資金繰りや銀行対応・現場事務まで全てこなしている奥さんが退職したが、後継者が実質的にいないのでは、と疑念を持たれるケース。
例えば、「息子さんの奥さん」が「経理責任者の後継者」というものの、子供が小さくて実質的な勤務不可能ではないかなどの疑念が持たれたり、又は、現実の税務調査において数年前に奥さんは退職しているはずなのに、全ての経理に対する受け答えを、その退職した奥さんが答えている場合などが考えられます。

上記のようなケースは要注意ですので、「退職」という事実をしっかり示すことが重要となります。社長や奥さんの退職金は金額的に大きなケースが多く、税務上の問題となると大変影響が大きいので、要注意です

社員の源泉所得税においての必要書類

社員に給与を支払う場合に、源泉所得税について、「甲欄課税」という扶養の数などを考慮した通常の源泉税にするためには、給与を支払う時までに「扶養控除等申告書」という用紙(一年に一度は必ず全役員・社員が書いている用紙)を会社に提出することが必要です。 例えば、「短期雇用の従業員が多い業種」や「年の途中でやめた社員」がいる場合に、この用紙がないと「乙欄課税」という源泉税となってしまい、このような方が何年分にも遡ると、大きな金額の源泉税の負担となってしまう恐れがあるので、注意が必要です。「該当者には入社時に必ず書かせる」ことは重要です。 また、一年以上、日本に居住している外国人の方についても、上記の源泉税の取り扱いについては同様なので、「扶養控除等申告書」の完備は必要です。

社員の慰安旅行

社員旅行について、「福利厚生費」として損金(経費)となる基準は、次の2つの条件です。 この基準に当たらない場合には、一般社員分であれば、旅行費用自体は「福利厚生費」ではなく「給与賞与」としての取扱いで損金(経費)で認められますが、その社員について「給与として源泉所得税」の対象とされます。 役員分であれば「源泉所得税」の対象に加え、その旅行費用自体が役員賞与して損金(経費)として認められなくなります。
  • その旅行に要する期間が4泊5日(目的地の滞在日数)以内
  • その旅行に参加する社員等の数は、全社員等の50%以上が対象

上記の基準に該当すれば、金額はいくらでもOKという訳ではありません。会社負担が、一人当たりおおむね10万円までが目安と言われています。
もし15万円の旅行であれば、個人負担5万円(これを給与として出して、負担させる場合でも可)・会社負担10万円であれば大丈夫です。ただ、全額がかなり高い旅行の場合には、会社負担分が10万円でも厳しくなります。
また、ゴールデンウィークや年末年始などで金額が高く、会社負担分がもっと高くてもいいのでは、と言うのは認められていないのが実情です。

毎年、この時期には、税務調査の特集をまとめさせていただいておりますが、ご紹介した例を含め、会社ごとのいろいろなケースについては、是非、ご相談ください。


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