HOME > あさぬまwebかわら版 > 税金かわら版 > <改正点詳細>グループ会社一体で税金計算?
会社単体ではなく、企業グループによる経営形態が進む中、一定のグループ企業間の取引について、その実態に即した課税をしていこうというものです。
具体的には、ある一定の支配下にあるグループ企業間で、資産(例えば土地など)を譲渡した場合には、税務上は譲渡損益を認識せず、グループ外に資産が売却等された際に認識する等という取扱いがあります。
『完全支配関係』にある会社に対して適用されます。これには「1.法人による完全支配関係」と「2.個人による完全支配関係」の2種類があります。具体的な例をお話します。
まず【図1】をご覧下さい。
「親会社」が「子会社A」と「子会社B」の株式をそれぞれ100%所有しています。
この場合の「親会社」と「子会社A」、「親会社」と「子会社B」は『完全支配関係』にあるとされます。
また「子会社A」と「子会社B」も『完全支配関係』にあるとされます。
この3社の相互間には、すべて『完全支配関係』があるということになります。

次に【図2】をご覧下さい。
「親会社」が「子会社」の株式を100%所有し、「子会社」が「孫会社」の株式を100%所有しています。
この場合の「親会社」と「子会社」、「子会社」と「孫会社」は『完全支配関係』にあるとされます。
また「親会社」と「孫会社」も『完全支配関係』にあるとされます。
この3社の相互間には、すべて『完全支配関係』があるということになります。

次に【図3】をご覧下さい。
「親会社」が「A会社」を、完全支配関係にある「子会社」を通じて間接的に支配している割合30%と、直接的に支配している割合70%の合計が100%であるため、「親会社」と「A会社」は『完全支配関係』にあるとされます。
今までの例は、支配する側、される側がすべて会社であるパターンでしたが、個人が絡む場合でも『完全支配関係』があるとされる場合があります。
【図4】をご覧下さい。
「A会社」は「太郎(兄)」+「次郎(弟)」という親族グループに株式を100%(30%+70%)所有されています。「B会社」も同様(100%)です。
この場合、「A会社」と「B会社」は、「太郎(兄)」+「次郎(弟)」という共通の同族関係者に100%所有されているため、「A会社」と「B会社」は『完全支配関係』にあるとされます。
「1人の個人と、その個人と特殊の関係にある個人の方々」を1つのグループと見て、2社の法人が、その同一グループに株式をそれぞれ100%所有されている場合には、その2社は『完全支配関係』にあるとされます。
「1.法人による完全支配関係」と「2.個人による完全支配関係」のどちらに該当するかで、グループ法人税制における取扱いが異なります。
【図5】をご覧下さい。
「A会社」と「B会社」の間には『完全支配関係』があります。この「A会社」が「B会社」に「C土地」を売却した場合、A会社には1,200万円の売却損が発生します。ところが平成22年10月1日以降は、グループ法人税制の適用を受け、この売却損は税金の計算上は経費として見ず、B会社がグループ外にC土地を譲渡した時に初めて、A会社の経費に計上します。
あくまでも決算書上は売却損が計上されますが、税金の計算上経費にならない、ということです。
従って、グループ法人間で多額の譲渡損益を発生させたような場合、決算書上の利益と申告書上の利益がかなり乖離することになります。
ちなみに、この適用の対象となる資産は下記の「譲渡損益調整資産」に限定されます。
<譲渡損益調整資産>
固定資産・土地(借地権等を含む)・有価証券(売買目的有価証券を除く)・金銭債権・繰延資産で、譲渡直前の帳簿価額が1,000万円以上のもの
次に、法人による完全支配関係がある場合にのみ適用されるものについてお話します。
【図6】をご覧下さい。
現在、法人間で寄付をした場合、寄付を受け取った方は収入になります。その反面、寄付した方は、その費用性の問題から、一定の金額のみ、経費になります。
【図7】をご覧下さい。
今後、【図6】と同じ取引を法人による完全支配関係がある法人間で行った場合、お金が動いたといっても、グループ内で資金が移動したに過ぎないと考え、税金の計算上、もらった方は収入に計上せず、寄付した方も経費にしない、ということになりました。
この取扱いも、上記の譲渡取引と同様、平成22年10月1日以後に支出する寄付金からが対象となります。
一般的な中小企業グループの場合、個人の親族グループが株主となっている場合がほとんどですので、個人による完全支配関係に該当する場合が多いかと思われます。その場合には、この≪グループ法人間の寄付≫の取扱いはなく、今まで通り、【図6】の取扱いになります。
今お話したグループ法人税制以外にも、平成22年度の税制改正において、親会社との関係や、親会社の資本金の金額により、取扱いが変わるものがあります。
従来、資本金の額が1億円以下の中小法人の場合、次のような特例がありました。
平成22年4月以降に開始する事業年度から、資本金が1億円以下であっても、資本金が5億円以上の会社の100%子会社である場合、上記の特例が適用できなくなります。
また、子会社といっても、直接支配の関係にある場合だけでなく、下図のように、間接支配が絡む場合でも、上記の特例が適用できなくなりますので注意が必要です。
*今後の国税庁の発表により若干の変更も予想されますのでご注意下さい。
- Copyright (c) 2009 浅沼経営センターグループ All Rights Reserved -