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相続税と税制改正大綱

Q1 昨年末に発表された税制改正大綱において、相続税はどのような取扱いになっているのでしょうか?

 新政権での「政府税制調査会」が昨年12月22日に取りまとめをした「平成22年度税制改正大綱」には、今後の相続税の方向性について次のように書かれています(一部省略)。

 相続税は格差是正の観点から、非常に重要な税です。バブル期の地価急騰に伴い、相続税の対象者が急激に広がったことなどから、基礎控除の引上げや小規模宅地等の課税の特例の拡充により、対象者を抑制する等の改正が行われました。バブル崩壊後、地価が下落したにもかかわらず、基礎控除の引下げ等は行われてきませんでした。そのため、相続税は100人に4人しか負担しない構造となり、最高税率の引下げを含む税率構造の緩和も行われてきた結果、再分配機能が果たせているとは言えません。また、金融資産の増加などの環境の変化が見られます。
 今後、格差是正の観点から、相続税の課税ベース、税率構造の見直しについて平成23年度改正を目指します。
  ・・・・・
 さらに、相続税の課税方式の見直しに併せて、現役世代への生前贈与による財産の有効活用などの視点を含めて、贈与税のあり方も見直していく必要があります。
  ・・・・・

Q2 どうやら増税の方向のようですね。

 はい。今回の税制改正にも相続税関係の増税の方向での改正が盛り込まれていますが、来年以降はそれ以上に相続税全体の見直しが図られるようです。
 具体的には、A1の赤文字のところに書いてある通り、「相続税の課税ベース(相続税の課税される人)の拡大」と「税率構造の見直し=税率の引上げ」等が重要な論点になりそうです。これは、その前文にもある通り、過去に比べて相続税が「実質的に負担軽減になっている」との認識によるものです。

Q3 相続税は過去に比べてそんなに負担軽減になっているのですか?

 財務省のホームページに、「最近における相続税の主な改正」というものがあります。これを簡単にしたものが下記の表になります。

image72.gif (図1)は、相続税の最も高い税率(「最高税率」)と、財産の金額が、この金額以下であれば相続税がかからない、逆に言うと、この金額を超えると相続税が課税される、という「基礎控除額」の推移です。この20年余りの間に、最高税率は下がり、基礎控除額は上がりました。その結果が(図2)の通りです。
 (図2)の「課税割合」というのは、お亡くなりになった方のうち何人の方について、相続税が発生したか、という割合です。昭和62年ですと7.9%ですので、100人の方が残念ながらお亡くなりになった場合、そのうちの約8人の方について、相続税が発生したということになります。それが平成19年においては4.2%にまで下がっており、100人当たり約4人の方しか相続税を納めなくなった、ということになります。
 また「負担割合」は、申告された財産の金額に対する、発生した相続税の金額の割合です。例えば昭和62年ですと17.4%ですので、相続した財産100万円当たり、17万4,000円の相続税が発生した、ということになります。こちらも平成3年の率と比べると平成19年は22.2%から11.9%にと、約半分になっています。

Q4 今回盛り込まれた増税の方向での相続税の改正点は何ですか?

 次の2点です。

  • 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
  •  相続財産のうち、自宅や事業又は会社の敷地として使っている宅地等については、一定の面積を限度として、評価額を80%減額(つまり2割評価)、又は50%減額(5割評価)するというものです。
     今までよりも要件が厳しくなり、相続した人がその自宅の敷地に住まなかったり、事業を引き継がなかった場合、まったく減額が受けられなくなります。

  • 定期金に関する権利の評価
  •  将来に渡り年金を受取る権利の評価や、保険金の受取方法が年金タイプの生命保険等については、相続税の評価額が実際の受取り総額よりも低く設定されていました。これが、最低でも解約した場合に戻ってくる金額(解約返戻金相当額)で評価されることになります。

     他の改正項目として、住宅取得資金の贈与については、特例の非課税の枠が500万円から、平成22年中であれば1,500万円、平成23年中であれば1,000万円まで拡充しています。これらが活用されれば、贈与した方の手元のお金が減り、結果的に相続税が減ることになるため、相続税の税制が増税の方向に大きく舵を取り始めると、これらの非課税贈与の活用が進むことになるでしょう。
     政権が変わり、今後は大きく相続税の税制が変わりそうです。


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