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平成22年度税制改正速報:税制改正のポイント Part-3

『大きな岐路』に立った税制改正

 政府は、平成21年12月25日、一般会計総額が92兆2,992億円となる「平成22年度予算案」を閣議決定しました。

所得税・住民税関連の改正項目

1.一般項目

項目
現行
改正の内容
扶養控除等の見直し

(所得税・住民税)
1.扶養控除
・年少扶養親族(扶養親族のうち、16歳未満の者)・・38万円
 <住民税は33万円>
・特定扶養親族(扶養親族のうち、16歳以上23歳未満の者)・・63万円(38万円+25万円)
 <住民税は45万円(33万円+12万円)>
2.同居特別障害者の加算
 扶養控除等に、35万円を加算する。
 <住民税は23万円>
1.扶養控除
子ども手当の創設に伴い、下記のように改正
・年少扶養親族・・・廃止
・特定扶養親族にうち年齢が16歳以上19歳未満の者の上乗せ分の25万円<住民税は12万円>を廃止

2.同居特別障害者の加算
特別障害者控除に加算する方法に改める
*平成23年分<住民税は24年度分>以後について適用
生命保険料控除の組換え 一般保険料及び個人年金保険料
<所得税> 最大10万円控除
<住民税> 最大7万円控除
生命保険料控除を改組し、次の1-3までによる各保険料控除の合計適用限度額を所得税12万円・住民税7万円とする。

1.平成24年1月1日以後に締結した保険契約等(新契約)
(1)介護医療保険料控除の新設
 生命保険契約等のうち、介護保障又は医療保障を内容とする契約又は特約に係る保険料等について、現行の一般保険料控除とは別枠で、所得控除を新設。
 <所得税> 最大4万円
 <住民税> 最大2.8万円
(2)新契約に係る一般保険料控除及び個人年金保険料控除の適用限度額は、それぞれ所得税で4万円、住民税で2.8万円とする。
2.平成23年12月31日以前に締結した保険契約等(旧契約)
 現行の一般保険料控除及び個人年金保険料控除(それぞれ限度額、所得税5万円ずつ・住民税3.5万円ずつ)を適用する。
3.新契約・旧契約の双方について、保険料控除の適用を受ける場合
 新契約・旧契約の双方について、一般保険料控除及び個人年金保険料控除を受ける場合には、新契約・旧契約それぞれについて、それぞれの計算式で計算した金額の合計額(所得税上限が4万円・住民税上限が2.8万円)とする。

*平成24年分<住民税は平成25年分>以後について適用
所得税の寄付金控除の限度額の見直し 特定寄付金の額と総所得金額等の40%とのいずれか少ない額から5千円(適用下限額)を越える金額が所得金額から控除される。 適用下限額を2千円に引き下げる。

*平成22年分以後について適用
【 解説 】
  • 子ども手当創設に伴う扶養控除等の改正
  •  平成22年度から、中学生までについての子ども手当(平成22年度は月額1万3千円・次年度以降は月額2万6千円)」及び「高校授業料の実質無償化」への財源として、それぞれの手当て又は無償化の対象年齢となる、年少扶養控除38万円(16歳未満)及び特定扶養控除の上乗せ加算分25万円(16歳以上19歳未満の加算に限る)が廃止となりました。<住民税は、それぞれ33万円・12万円>

     これにより、例えば、夫がサラリーマンの専業主婦家庭で、子どもが小学生二人で、年収500万円と仮定した場合、子ども手当の支給という「プラス要因」と児童手当・扶養控除の廃止による「マイナス要因」を相殺すると、1年間で手取りが約40万円増える試算となります。(子ども手当が月額2万6千円の支給で、税制改正等が全て影響する年度の場合)

     当初は、配偶者控除の廃止も議論されていましたが、「・・・配偶者控除については、その考え方等について広く意見を聴取しつつ整理を行った上で、今後、その見直しに取り組むこととします。・・・」と記述され、平成22年度は一応の存続とはなりましたが、子ども手当等の財源問題の中から、来年度以降の「見直しの方向」が明記されました。(配偶者控除が廃止又は、縮小になると、前記の手取り金額の増額は減少する)

     これらの政策は、民主党マニフェスト以降、新政権の税制の考え方の中で、最も特徴的な、所得税控除から給付税額控除給付つき税額控除への転換」に基づいています。

     従来の所得税においては、「所得控除」が基本でした。「配偶者控除」「扶養控除」「医療費控除」等々、すべて「所得控除」であり、課税所得に税率を乗じる前に「控除」するため、税率が高い人、つまり収入の高い人ほどその効果は高くなります。
     例えば、扶養一人38万円が増えた場合、最高税率の人であれば、約19万円の減税効果になるのに対して、もし控除がそもそも所得を上回っていて、税金がかからない人であれば、更に控除が増えたとしても何も変わらない、つまり効果はゼロです。

     給付つき税額控除とは、例えば、子ども一人当たり10万円の税額控除としたら、税金を100万円払っている人は、「100万円-10万円=90万円」として10万円分税金を安くし、税金を2万円払っている人は、「2万円-10万円=-8万円」として、税金がゼロで更に8万円の給付をするというもので、所得控除と比べると、所得の少ない層の方に対して有利に働く税制です。(実際は、「現金給付」に優先して、年金や医療の社会保険料の納付分を相殺して、なお余りがあれば「現金給付」になると思われますが。)
     扶養控除の一部と、将来的には配偶者控除を廃止して、「月額2万6千円の子ども手当」の財源とすることについても「所得控除から給付へ」の流れであり、税制改正大綱の中で「所得の再配分」という言葉を、方針として随所に使っています。

     これ以外に、今回は改正が見送られましたが、税制改正大綱に中に「・・・所得再配分機能の回復等の観点からの、給与所得控除の見直しや、税率構造などの所得税改革にも取り組むこととします。給与所得控除には上限がありませんが、給与所得者の必要経費が収入金額の増加に応じて必ずしも増加するとは考えにくく、高所得者により有利な制度となっています。このため、給与所得控除に関しては、上限を設けるなどの見直しが必要です。・・・」との記述があります。
     つまり、どんなに給与が高くても「5%」は課税所得から控除している現在の「給与所得控除」について、「上限規制をする」ということです。
     新政権の考え方は、「高い所得層」への課税強化により、「所得の再配分」を非常に重視している考え方と言えます。
     ただし、「給付つき税額控除」の導入をする場合には、2つの前提があります。
     税額控除をしてゼロとなった場合に、現金給付をする前段階として、社会保険料などの支払いがあれば充当するための「社会保険と税の共通番号=納税者番号制度」の導入と、それを「管理する主体=歳入庁(国税庁と日本年金機構の統合)の設立」であり、税制改正大綱にも、その方針が明記されています。

    2.土地・住宅税制

    項目
    現行
    改正の内容
    特定の居住用財産の買換え等の場合の長期譲渡所得の課税の特例 居住期間が10年以上である一定の居住用財産で、その譲渡した年の1月1日における所有期間が10年を越えるものを譲渡し、かつ、譲渡資産の譲渡をした年の前年の1月1日から譲渡した年の翌年12月31日までの間に一定の居住用の住宅やその敷地を取得した場合、当該資産の譲渡につき課税を繰り延べる。 譲渡資産の譲渡に係る対価の額が2億円以下であることの要件を追加した上、適用期限を2年延長
    居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等の特例 所有期間が5年超の居住用財産を譲渡し、譲渡した年の前年1月1日から譲渡した年の翌年12月31日までの間に一定の居住用財産を取得し、かつ、当該買換え資産の取得につき一定の住宅借入金等がある場合において、当該譲渡損失を他の所得と損益通算及び繰越控除することができる。 2年延長
    特定居住財産の譲渡損失の繰越控除等の特例 所有期間が5年を越える居住用財産の譲渡(特定譲渡)をした場合において、その個人が特定譲渡に係る契約を締結した日の前日において譲渡資産に係る住宅借入金等の金額を有しており、かつ、その特定譲渡による譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額がある場合には、その損失の金額のうち一定の金額について、他の所得と損益通算する特例及び繰越控除することができる。 2年延長

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